コリントの信徒への手紙一9章24節が今年度の聖学院小学校の運動会の聖句でありました。それは「あなたがたは知らないのですか。競技場で走る者は皆走るけれども、賞を受けるのは一人だけです。あなたがたも賞を得るように走りなさい。」という御言葉でした。5月18日(土)には、聖学院小学校の校庭にて運動会が持たれました。当日は、晴れの天気で、風も適度に吹いていて、体を動かすには良い一日となりました。無事に運動会を終えることができたことを主なる神様に感謝致します。児童達も、保護者と教職員も、十分に運動会を楽しむことができたのではないでしょうか。瞳を輝かせながら最後まで全力で走る児童の立派な姿に胸を打たれたのは私一人ではなかったと思います。やはり、優しい眼差しで観ておられる保護者の皆様が、児童達の潜在的な力をも本番で引き出してくださったのだと考えています。保護者の皆様、有難うございました。
さて、運動会は練習から始まります。練習への取り組みによって運動会の大きな方向が見えてきます。聖句にある「あなたがたも賞を得るように走りなさい。」とは、どのように走る準備をするのかを自問することが含まれています。賞を得るという結果だけが大切なのではなく、そこに至るプロセスが重要です。特に、紅組白組、2つのグループに分かれて競い合うので、チームワークがいかに発揮されるかが深く勝敗に関係してきます。練習でうまくいかなかった事が、かえって真剣な取り組みをチーム内に生み出す、ということが起こります。練習では圧倒的に一方が勝っていても、本番では負けていたチームの方が勝ったり引き分けたりしていました。聖小の児童の修正する力は相当なものであると驚かされたりしました。
練習への真剣な取り組みが修正へと導く鍵となりました。両チーム共に、よく修正して当日に臨んでいたと思われます。これは、5年生、6年生の担任の先生方のご指導の影響もあったと思われます。高学年が残りの児童達をよく引っ張っている様子が、全学年の競技に見られました。大玉送りなどは、競技が終わった後、退場する時に低学年の児童達が真ん中から移動するのですが、両側に立つ高学年の児童達に温かく見送られて、その光景はまるで英雄たちの凱旋行進のようでありました。勝っても負けても、低学年の児童達は、お兄さんお姉さんの温かい目が注がれていて、励まされて楽しく移動できたのではないでしょうか。
今回の運動会では、私は準備係の担当に関わり、それぞれの競技に必要な備品を運び、校庭のライン引き等をしていました。多くの児童達が、係であってもなくても競技の準備を喜んで手伝ってくれました。自分たちが運動会を楽しむだけではなく、準備の奉仕にも楽しく参加している児童が沢山いました。競技の行方ばかりに熱中するのではなく、その準備の奉仕にも加わって運動会をつくってくれた児童の皆さんに心から感謝致します。準備の中には、石灰の袋を開けて、中から石灰を入れ物に入れる、石灰だらけになってしまう奉仕もありました。「先生、僕がやります!」と申し出て、スコップで石灰をすくってくれた児童もいました。嫌々ではなく、喜んで、自発的に積極的に参加してくれていたことが、とても嬉しく思いました。このように自発性を発揮できるようにご指導くださっていた担任の先生方に心から感謝致します。
もちろん、課題もありました。反省と改善をしなければならない点はあったと思われます。それらの課題は、その他の反省点と共に来年度の運動会に向けての大切な参考と準備となっていくでありましょう。しかし、奉仕に喜んで加わる児童があまりにも多かったことや、競技で修正能力の高さが示されたことなど、成長の恵みの方がはるかに上回る運動会であったという印象を持ちました。運動会の準備委員会のすべての先生方、準備のご奉仕ありがとうございました。又、準備係であった児童の皆さん、本当にお疲れ様でした。開会式の宣誓や閉会式の祈祷も、すばらしかったです。
聖学院幼小チャプレン 中村 謙一
(学校だより けやき 第492号2019年5月27日発行)