クリスマスが近づいてきました。いたるところでクリスマスソングが流れ、いつもは見慣れた街並みも、素敵なツリーが飾られ、きらびやかなイルミネーションで華やかに彩られています。聖学院小学校の子どもたちも、毎朝の礼拝や聖書の授業、ページェントの練習をはじめとして、クリスマスに親しむ機会が増えています。
以前、教会でガリラヤの町、ナザレに行き、実際に宿泊された方のお話を伺いました。イエス様がお生まれになったナザレの町は、見晴らしのよい丘にあり、何万人もの人が住む町なのだそうです。しかし、夜になると灯りが少なく、今でも寂しいところだったというお話でした。
イエス様の時代のナザレはどうだったかというと、人口も数百人ほどで、人々は主に自然の洞窟を利用した住居に暮らす貧しい小さな村だったそうです。そのような場所に住んでいたマリアさんのところへ、ある日、天使ガブリエルが突然現れて、「おめでとう、恵まれた方。主があなたと共におられる。」と告げました。マリアさんはこの言葉に戸惑い、いったいこの挨拶は何のことかと考え込んだと、ルカによる福音書には書いてあります。
この後マリアさんはどうしたでしょうか。この時代、まだ結婚をしていないマリアさんに赤ちゃんがうまれるというこのお告げは驚きと同時に、大変なことでもありました。しかし、マリアさんは結婚の約束をしていたヨセフさんや親族のエリサベトさんに助けられます。神さまは、マリアさんのこと、そしてお腹の中のイエス様のことをしっかりと守る人たちを備えてくださいました。
その後マリアさんはページェントでも演じられるように、人口調査のためにヨセフさんと共にベツレヘムという町へ行くことになります。おなかの大きなマリアさんにとって、ベツレヘムまでの長旅はつらく、大変なものだったと思います。そして、宿に泊まることができず、牛や馬などの動物がいる不衛生な家畜小屋でイエス様はうまれることになります。現代のクリスマスの華やかさとは反対に、実際のクリスマスは、暗く、騒々しい、不衛生な家畜小屋で起きたお話なのです。
こんな場所でうまれたイエス様にお祝いに駆けつけた人たちがいます。どんな人たちだったでしょうか。まずやってきたのは、貧しい羊飼いたちでした。夜も野宿をしながら羊の番をしなくてはならず、当時行われていた人口調査でもその数に入れてもらえないほどにさげすまれていた職業の人たちです。そして、次にお祝いに駆けつけたのは外国の博士たちでした。
こうして考えると、クリスマスの喜びは、世の中のお金持ちやえらい人たちのように限られた人たちのためではなく、貧しい人にも、外国の人にも、つまりどの人にとっても同じ喜びですよというメッセージが伝わってきます。
クリスマスは、神のひとり子イエス・キリストがこの世に来てくださった日です。神さまがどんな人にも、一人ももれることなく、全ての人のためにお与えくださったプレゼント、イエス様の誕生を通して、神さまの深い愛をこのクリスマスにぜひ感じていただけたらと願っています。
宗教部 小野寺 和人
(学校だより けやき 第551号2024年11月28日発行)