年度末を迎えて

 間もなく2024年度が終わろうとしています。この一年も聖学院小学校の教育にご理解とご協力を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。この一年、子どもたちは様々な経験をして、知的にも精神的にも成長してきました。もちろん、楽しい経験ばかりではなかったでしょう。勉強が思うように進まなかったこと、友だちとの関係に悩んだこともあったに違いありません。しかし、困難を乗り越えた経験は人を大きく成長させます。子どもたちが困難を乗り越える力を育てるのも親と教師の務めです。もちろんその前提として困難の中にある子どもの様子を正しく知っていなければなりません。見守るべき時なのか、励ますべき時なのか、助けるべき時なのか、その見極めはとても大切です。放任でも過保護でもいけないからです。そのためにも保護者と学校との情報共有、連携が大切なのは言うまでもありません。
 ところで、心の成長や知的な成長に欠かせないのが、吸収力です。そして私たちはしばしば子どもたちの吸収力のすごさに驚かされます。子どもたちは日々新しいことを吸収していきます。新しいことを覚えたり、できるようになったりといったスピードは、私たち大人のそれを遙かに上回ることもたくさんあります。 けれども、ここで心に留めておかなければならないのは、子どもは良いものと悪いもの、必要なものと不必要なもの、大切なものとそうではないものを見極めて吸収していくわけではないということです。ですから、子どもたちが何を吸収するかは、私たち大人が子どもたちに何を吸収させたいと願うのか、どのような環境に置くかによって左右されることになります。言い換えるなら、子どもが何を吸収していくかの鍵は私たち大人が握っているわけです。だとすると、私たち大人がまず何が大切かをしっかり認識していなければなりません。特に数値的なこと、できるようになったことなど、目に見えるものだけを大切にするという過ちに陥らないようにしたいと思います。
 年度末のこの時、子どもたちの成長を確認すると共に、子どもたちを導く立場にある私たち親と教師がこの一年の歩みを振り返り、新しい決意を持って4月からの歩みを始めたいと思います。
 次年度も子どもたちとご家族の皆様の上に神様のお守りと祝福がありますように、特に6年生の子どもたちがそれぞれの進学先で充実した中学校生活を送ることができるようにお祈りいたします。

校長 佐藤 慎
(学校だより けやき 第554号2025年2月26日発行)