しとしとと雨の降る日が増え、季節は次第に梅雨へと移ろう中、子どもたちは今日も元気いっぱいに、学びや遊びに励んでいます。先日の運動会では、子どもたちがそれぞれ持つ「たまもの」をいかし、仲間と協力しながら素晴らしい姿を見せてくれました。たくさんの笑顔と感動にあぶれた、かけがえのない時間となりました。
「タラントンのたとえ話」(マタイによる福音書25章14~30節)では、主人から託されたタラントンをどう生かすかが問われます。五タラントンを預かった僕(しもべ)は、それを元手にさらに五タラントンを増やし、ニタラントンを預かった僕も同様に働きました。しかし、ータラントンを預かった僕は、それを地中に埋めてしまいました。勇気をもって行動した僕たちは主人にほめられ、何もしなかった僕には「そのままではいけない」との教えが与えられます。
「タラントン」とは、もともと古代ギリシャ・ローマ時代の重量や通貨の単位で、現代の日本円に換算すると、1タラントンは約4, 200万円とも言われています。しかし、聖書においては「神様から託された賜物」を象徴する言葉として用いられています。
私たちは、それぞれに神様から「タラントン (たまもの)」をいただいています。それは能力や性格、経験、環境など、目には見えにくくても確かに与えられている大切なものです。子どもたち一人ひとりの中にも、神様から与えられたかけがえのない賜物が宿っています。
学校では、日々の活動や友だちとの関わりの中で、子どもたちの「たまもの」が、きらりと光る瞬間に何度も出会います。誰かに優しい言葉をかけたとき、苦手なことに挑戦できたとき、成功を友だちと喜び合うときです。子どもたちは毎日、小さなチャレンジを重ねながら、自分の「たまもの」を少しずつ輝かせています。
さて、生活部では「光の子」プロジェクトとして、子どもたちが安心して過ごせる環境づくりを進めています。子どもたちが学校生活を快適に送れるよう、月間目標の設定や縦割り活動、挨拶運動、新しい議題の検討など、各委員会がさまざまな活動に取り組んでいます。また、今年度特に大切にしているのは、一人ひとりの「たまもの」を生かせるよう、温かく見守ることです。そして、子どもたちの「タラントン」が輝ける場を整えていくことは、私たち大人の大切な責任だと考えています。
また、子どもたちにとって最も安心できる時は、家族と過ごす時間です。それは、自分の存在を大切に思える心を育む、かけがえのない時間でもあります。たとえ失敗しても、「次はどうしようか?」「一緒に考えよう」と温かく見守ることで、子どもたちは安心して挑戦を続けることができます。
子どもたち一人ひとりが、自分の中にある「たまもの」に気づき、神様のあたたかなまなざしに見守られながら、日々を歩んでいけることを願っています。
生活部 濱住 聖史
(学校だより けやき 第557号2025年5月27日発行)