朝晩は冷え込みが厳しくなりましたが、お天気の良い日は穏やかで何をするにもよい季節です。どこまでも澄んだ青い空に白い雲。神様がその御手で色を塗られたとしか思えないほど美しく、一枚として同じものがない木々の葉。「芸術の秋」にふさわしく、私たちを包む自然も神様の芸術作品だと感じます。
聖学院小学校の児童一人ひとりが、手塩にかけて作ったり描いたりした作品が校舎の中を彩ってくれた作品展。図工が得意な子も苦手な子もしっかりと自分の心と向き合って、真剣に取り組んだ作品は本当に美しく、見る人の心を温かくしてくれました。制作中、悩んだり困ったりして手が止まっている子どもたちもよく見かけました。でも、先生や友だちからアドバイスをもらったり、友だちの作品を見てヒントをもらったり、自分が持っている「たまもの」を一生懸命に磨きながら作品を作っている姿が、とても素晴らしかったです。
先週は、音楽会が行われました。今度は個人ではなく、クラスや学年全員の力を合わせて「今、この時」にしか出せない歌声、合奏を響かせてくれました。音は形として残りませんが、力を合わせた心地よさややり切った達成感は子どもたちの心に宝として残ったことでしょう。音楽の時間、音楽のたまものを持った子どもたちが、音やリズムがなかなか取れずに苦慮している子どもたちに積極的に声をかけたり、休み時間にできるまで寄り添ったりする場面がありました。お互いの「たまもの」を磨きあう姿が、とても素晴らしかったです。
イエス様が語られたたとえ話の中でも特に有名な「タラントンのたとえ」をよく読み込みたいと思います。5タラントンを預かって努力して10タラントンにした人と、2タラントンを預かって努力して4タラントンにした人は、全く同じ言葉で誉められていることに注目したいと思うのです。マタイによる福音書25章21節と23節をぜひ読み比べてください。一字一句全く同じです。この世的に考えれば、10タラントンにした人の方が賞賛を浴びそうです。けれど、天の神様は、人と比べるのではなく、自分が預かった恵みに感謝して一生懸命に努力することをこそ認めてくださるのです。
1タラントン預かった人はその素晴らしい価値(1タラントンは、現在の日本円では1日七千円で働くとして、なんと4200万円にもなります)に気づくことなく土に埋めてしまいます。「たまもの」をいただいているのに、周りの人と比べて、神様から預かったタラントンを一生懸命に努力して磨くことが求められていることに気づけなかったのです。1タラントン預かった人も、“1タラントンも”預けてくださったことに感謝し、一生懸命に努力して1タラントンを2タラントンにすれば、5タラントンを10タラントンにした人と全く同じ言葉で褒めていただけたはずなのです。神様は結果ではなくその過程を大切にしてくださることを覚えたいと思います。
図工や音楽だけでなく、体育や算数や国語その他の教科にも得意・不得意があることでしょう。けれども、神様はそれぞれに合ったたタラントン(まもの)を必ずお与えくださり、それを一生懸命に磨くことを待っていてくださるのです。
間もなくアドベント(イエス様の御降誕を待つ季節)、そしてクリスマスです。神様の最高傑作であるイエス様のお生まれを待ちながら、今日も、明日も明後日も、聖学院小学校のみんなで「たまもの」磨きに励みたいと思います。
教頭 相浦 智
(学校だより けやき 第562号2025年11月27日発行)
