4月のがんばりにごほうび

 昨年の今頃はなにをしていたでしょうか。学校は3月から休校、先の見えない不安の中、4月を過ごしていたことと思います。新年度が予定通り始められることは、当たり前のことだったのが、昨年の経験から、それは決して当たり前のことではなく、本当に特別なことで、感謝することなのだということを感じながら、2021年度は始まりました。

 2021年度最初の日を思い返してみると、その始まりは4月5日にさかのぼります。この日、元気よく登校してきたこどもたちは、2階の玄関前に貼られた新しい学年のクラスと担任の先生の表を見て、大興奮の朝となりました。朝のホームルームを終え、新しい学年、クラスとなったこどもたちは新しい先生と一緒に始業式の放送礼拝を教室で捧げました。チャペルには新しい5年生と6年生が集まりましたが、こどもたち一人ひとりの顔は、これから始まる1年間への期待に満ちていました。

 翌6日、聖学院小学校は新しい72名の1年生を迎えました。1組、2組一緒にチャペルに入場し、ご家庭の方々が見守る中、入学式では全員の名前が一人ひとり呼ばれ、そのたびに元気のいい声がチャペルにひびきました。退場後は校庭に出てご家族と一緒に記念撮影もできました。
 そして4月7日からは全校児童が登校し、435人の新しい聖学院小学校の1年がスタートしました。

 昨年やっていないこと、久しぶりのことなど、普段やっていないことをやることはとてもエネルギーがいることです。
 1年生にとって新しい小学校生活は、緊張と不安の連続で、帰宅後はぐったりと疲れてしまい、電車やバスで寝てしまったり、食事中にうとうとしてしまったりという話もよく聞きます。それでも、翌日にはまた張り切って登校してという毎日を過ごしてきました。
 2年生以上も、毎朝登校すると、新しい靴箱、教室や ロッカーなど、これまでとはちがう場所を使い、いつもとちがう先生、いつもとちがう友だちとのちょっと落ち着かない毎日を過ごしてきました。

 新年度を迎えた今は、少し興奮気味ということもあり、たくさんの新しい刺激を受け入れ、乗り越えてきました。そんな一人ひとりの心と体は実は今、ぐったりと疲れてきています。

 そしていよいよ大型連休に入ります。聖学院小学校は4月29日から5月5日まで7日間連続でお休みになります。せっかく新しい生活にも慣れてきたところに、7日間のブランクが入ってしまうのは残念な気もしますが、この連休は4月をがんばってきたこどもたちにとっては貴重な休憩になります。ちょっとオーバーペース気味にがんばりすぎたこどもたちの3週間の心と体の疲れをしっかりと癒やす7日間にしてください。

 何をするにもいい季節です。緊急事態宣言のことが心配ではありますが、安全に気をつけて、ルールを守りながらどんなことができるか、ご家族でいろいろ考えてみてください。
 外に出なくても、楽しむことはたくさんあります。おうちの人と一緒にお料理に挑戦したり、たくさん読書をしたり、楽器を始めてみたり、大そうじなどはどうでしょうか。あえて一日なにもしないというのもいいかもしれません。ぜひがんばったごほうびの7日間をゆっくり過ごしていただきたいと思います。

 また、この7日間は、スタートダッシュでがんばってきた3週間を落ち着いて振り返るひとときでもあります。今までちょっと無理していて、ていねいにできていなかったことを立て直す絶好のチャンスでもあります。ノートをきれいにまとめ直したり、もう一度教科書を読んでみたり、プリントや学用品を整理したり、持ち物の記名をし直したり、足りない物を買い足したり…こ んなことも連休だからこそできることです。あらためて1年間をすごすための周辺整備も、まだ3週間しかたっていない今ならいくらでもできそうです。

 この連休は健康に気をつけて、4月をがんばった自分の心と体をいたわってあげてください。そして5月6 日、疲れも癒えてすっきり元気なみなさんにお会いできるのを楽しみにしています。

教頭 田村 一秋

(学校だより けやき 第512号2021年4月27日発行)