もうすぐ夏休みがやってきます。ところで、そもそも夏休みとはなんのための休みなのでしょうか。
学校で言う夏休みの正式な名前は「夏季休業」というのだそうです。夏の間は学校の中や外はとても暑いので、その期間はお休みにしてそれぞれの家庭で普段学校ではできない学びや経験の機会を、ということで行われているようです。また、農家や自営業者の場合は家業の手伝いを行いやすくするためという理由も含まれます。
今では、学校に冷房が完備され、こどもが家業を手意味伝うという機会も少なくなり、古くからの夏休みのは変わってきています。その分、今の夏休みの過ごし方はそれぞれに任されてきています。
聖学院小学校の夏休みは7月16日から8月31日まで になります。7月で16日間、8月で31日間ですから合わせて47。今年の夏休みは47日間ということになります。もちろんこの期間は、普段行けない病院で治療したり、習い事などすでに決まっている予定もあると思いますが、それにしても自由に過ごせる長い日々がやってきます。
家族で旅行やお出かけの予定もあるかもしれませんが、47日を前に、あらためて夏休みの過ごし方について考えてみる機会をぜひ持っていただきたいと思います。
好きなことを続ける
埼玉県に住む6年生の男の子は、大好きなカブトムシの研究をしていました。カブトムシは夜行性で、日中は土の中で過ごし、夜になるとクヌギの木の樹液を吸いに出てくることは昆虫が好きな人には常識です。でも調べていくと、なぜか「シマトネリコ」の木にだけは日中にも関わらず群がることに疑問を持ち、162の個 体を追跡調査。カブトムシは必ずしも夜行性ではないというその膨大な観察記録は研究者のデータになり、アメリカの学術誌で発表されたそうです。
学者もできないようなひたむきな観察の継続は世界的な発見を生みました。夏休みは好きなことをひたすら続けてみるチャンスでもあります。
本を楽しむ
近所の図書館に行ったことはあるでしょうか。ぜひ、夏休みにはご家族で近所の図書館を巡って、児童書のコーナーで小学生のときに読んだり、気になっていた本を手に取っていただきたいと思います。親子で同じ本を読むことの楽しさは夏休みのような時でないとなかなかできないことです。
図書館ではいろいろなサービスもあります。図書館にない本は、他の図書館経由で借りられたり、それでもなければ購入もお願いできます。夏休みにはイベントも企画されています。本屋さんもいいですが、ぜひ家族で図書館に足を運んで本を楽しんでいただきたいと思います。
だれかのために
夏休み本来の理由の一つに家族を手伝うという意味もあります。家族の一員としてしっかりと働き手になるということも、長く家にいる夏休みだからできることだと思います。なにができそうか、続けられそうかを家族で話し合ってぜひ、こどもにその役を託していただきたいと思います。家の中だけでなく公共の場でもなにかできることがあれば、達成感も大きく、親ではない人からほめられたり感謝されたりすることで、家庭では決して経験できない社会的な一員である意識や心の成長のきっかけにもつながります。
もうひとつの家族
親せきに会う機会が多くなるのも夏休みです。家族以外に、年齢の近いいとこや優しいおじさんやおばさんが親せきにいるということは、あたかも家族が増えたような新鮮な発見です。いろいろな親せきに、学校のことや自分のことをお話しすること、小さな子のめんどうをみたり、お兄さんお姉さんに遊んでもらったりのさまざまな関わりは、安心して心許せる親せきだからこその経験です。
今年は特に暑い夏になりそうです。健康に気をつけて、でも夏を楽しむ気持ちを大切に、家族それぞれの16+31をお過ごしください。
教頭 田村 一秋
(学校だより けやき 第526号2022年7月14日発行)