「挨拶は、大きな声で、目を見てしっかりしよう」これは、私が小学生だった頃に先生によく言われた言葉です。朝が苦手だった私は、校門を通るたびに先生から「声が小さいよ」と声をかけられた思い出があります。
本校でも、児童会が中心となって「光の子プロジェクト」として挨拶運動を行っています。登校してきた低学年の子どもたちに、お兄さん、お姉さん達が優しく声をかけると、立ち止まって元気よく挨拶を返す姿が見られます。そんな微笑ましい場面に、私は何度も心が温かくなりました。
また、教室に入ってくる友だちへの挨拶より先に「昨日の『逃走中』見た?」とテレビ番組の話をしたり、「休み時間に何をして遊ぶ?」と話しかけたりする姿もあります。朝の登校中に話題を考えながら学校へ向かっているのかと思うと、学校生活を楽しみに来てくれていることが伝わってきます。
では、挨拶には、どのようなことが大切なのでしょうか。海外では、道で出会う人やお店の店員さん、公園ですれ違う人など、多くの人が自然に目を見て挨拶を交わします。少し照れてしまうほどしっかり目を合わせ、笑顔で言葉を交わす姿に、その文化が根付いていることを感じます。目を合わせることで、その人の体調や様子を感じ取ることもできます。眠そうにしていたら、「昨日は遅くまで頑張っていたのかな」。顔が赤ければ、「少し熱があるのかな」。疲れている表情を見れば、「何か悩みがあるのかな」と、相手を思いやるきっかけにもなります。
一方で、デジタル機器が普及した現代では、相手の目を見て話す機会が少なくなっているとも言われています。街の中や電車の中、そして学校の中でも、友だちと話しながら画面を見ている姿を目にすることがあります。また、メールやチャットだけで大切な会話が成立してしまうこともあるようです。それで本当に、会話のキャッチボールができているのでしょうか。少しずつ心の距離がずれてしまい、気づいた時には戻れなくなっていたとしたら、とても寂しいことです。
では、なぜ相手の目を見ることが大切なのでしょうか。私たち大人も、忙しい毎日の中で、つい子どもの目を見ずに返事をしてしまうことがあります。しかし、相手の目を見て話すことは、「あなたを大切に思っています」という気持ちを伝えることにつながります。
聖学院小学校の卒業式では、大人讃美歌のⅡ編26番『小さなかごに』を歌います。以前、ある卒業生でもある保護者の方が「私の好きな讃美歌です」と教えてくださいました。
「『おはよう』とのあいさつも、こころこめて交わすなら、その一日おたがいに、よろこばしく過ごすでしょう。」という歌詞があります。挨拶は、ただ言葉を交わすだけではなく、相手を思いやり、心を向ける小さな行いなのだと思います。
本校が大切にしている協同学習では、「互いを認め合い、支え合う関係(互恵関係)」を大切にしています。人と人とのつながりは、日々の小さな挨拶から始まります。目を見て交わす「おはようございます」の一言が、相手の心を温かくし、自分自身の心も豊かにしてくれます。子どもたちには、学校生活の中で、そんな人とのつながりの温もりを、たくさん感じてほしいと願っています。
生活部 濱住 聖史
(学校だより けやき第568号 2026年5月26日発行)
