年度末を迎えて

 2018年度も間もなく終わろうとしています。
 この一年、子どもたちは様々な経験をして、知的にも精神的にも成長してきました。もちろん、楽しい経験ばかりではなかったでしょう。勉強が思うように進まなかったこと、友だちとの関係に悩んだこともあったに違いありません。6年生は受験という試練も経験しました。しかし、試練を乗り越えた経験は人を大きく成長させます。子どもが自力で乗り越えることのできない試練に直面したときに、周りの大人がそれに気づかなかったり、必要な手助けをしなかったりということはもちろんあってはいけませんが、反対に過保護にならないことも大切です。

 ところで、心の成長や知的な成長に欠かせないのが、吸収力です。そして私たちはしばしば子どもたちの吸収力のすごさに驚かされます。子どもたちは日々新しいことを吸収していきます。新しいことを覚える、できるようになるといったスピードは、私たち大人のそれを遙かに上回ることもたくさんあります。

 けれども、ここで心に留めておかなければならないのは、子どもは良いものと悪いもの、必要なものと不必要なもの、大切なものとそうではないものを見極めて吸収していくわけではないということです。ですから、子どもたちが何を吸収するかは、私たち大人が子どもたちに何を吸収させたいと願うのか、どのような環境に置くかによって左右されることになります。言い換えるなら、子どもが何を吸収していくかの鍵は私たち大人が握っているわけです。だとすると、私たち大人がまず何が大切かをしっかり認識していなければなりません。特に数値的なこと、できるようになったことなど、目に見えるものだけを大切にするという過ちに陥らないようにしたいと思います。

 さて、年度の終わりという節目の時にするべきことは、自らの歩みを振り返るということです。きちんと振り返ることで自分の課題に気づき、新しい決意を持って新しい一歩を踏み出すことができるからです。けれども、この振り返りも意味あるものにするには大人の手助けが必要です。渡される「あゆみ」なども用いて親子で振り返りの時を持っていただきたいと思います。もちろん、振り返りが必要なのは子どもたちだけではありません。私たちも親として、教師としてどうであったかの振り返りをしなければなりません。

 最後になりますが、この一年のご理解とご協力に感謝すると共に、次年度も子どもたちとそのご家庭の上に神様のお守りと祝福がありますようにお祈りいたします。特に6年生の子どもたちがそれぞれの進学先で充実した中学校生活を送ることができるようにお祈りいたします。

校長 佐藤 慎

(学校だより けやき 第489号2019年2月26日発行)