光の子のように

 聖学院小学校の正門をくぐると、こどもたちを静かに見守る、大きな「しいの木」。
 昔からある、みんなが大好きな木です。
 朝はどんぐり拾い、昼は木のまわりでおにごっこを楽しみます。そして夕方は、友だちと待ち合わせをするときの目印に。日差しの強いときは木陰で休ませてくれるし、雨が降ってくると大きな枝が雨宿りさせてくれる、みんなにやさしい場所です。
 私たちのほかにもこの木が好きなのは、鳥たち。校庭礼拝のはじめに黙祷をしていると、鳥のさえずりが耳に入ってきます。目を開けるころには、思わずみんなの顔から笑みがこぼれます。この鳥たちも木の中で羽を休めて、また飛び立っていくのでしょうか。

 さて、11月1日は聖学院小学校の創立記念日です。
 2019年度の1年生は60回生ですから、60年分の児童がこの「しいの木」に見守られて小学校生活を送ってきたことになります。
 広報活動をしていると、よく聞かれるのが「聖学院小学校の児童は、どんなお子さんが多いですか」という質問です。神様に与えられた賜物は人それぞれですから、一概に「このような子」とひとくくりにできない私たちは、この質問に答えるのが得意ではありません。

 授業では、課題にむかって探究していくプロセスの中でいろいろな角度からの気づきがその内容の理解をより深めてくれます。読書が好きな子、活動的な子、創造力に溢れる子など、それぞれの個性が新しい気づきを生み出すのです。ただし、その気づきを共有する前に必要なこと。それは個人思考の時間を確保してやることです。だれかの発言をあてにして待っているだけでは自ら学ぶことにならないので、必ず自分なりの考えを持ってから活動に参加するようにします。それができて初めて、学び合いのスタートラインに立てるわけです。今まで分からなかったことが分かるようになったり、自分では気づかなかったことを見つけたりするのは、とても楽しいことです。だからこどもたちは、一日の学校生活の大半を占める授業時間も生き生きと参加しているのだと思います。

 この時期は、音楽室から歌声やリコーダー合奏、いろいろな楽器の音色が校内に響き渡っています。音楽会やクリスマスを迎えるための準備です。歌詞の意味を知り、音の響きを感じるこの季節もまた、こどもたち一人ひとりにとって、すてきな学びの時となることでしょう。

 小学生でいられる期間は、長い人生の中でたったの六年間です。神様によって、聖学院小学校に呼び集められたこどもたち。神様と人とに愛されていることを知り、安心して歩みを進めています。しいの木のもとに佇む、光の子の像のように、空を見上げて、まっすぐ光の道を歩んでいってくれることを願っています。

広報部長 新井 裕子

(学校だより けやき 第496号2019年10月28日発行)