2019年度を終えるにあたって

 2019年度の学校のあゆみを間もなく終えようとしています。この1年を振り返りますと、決して平穏であったとは言えません。なんと言ってもインフルエンザの流行を受け、12月に4日間の学校閉鎖に至ったことは想定外のことでした。けれども2011年の東日本大震災の時にしきりに言われた「想定外」という言葉は私たちに「想定外」であることを言い訳にしてはならないとの教訓を与えました。地球温暖化の影響もあると言われる近年の異常気象やインフルエンザ流行時期の変化、新型コロナウイルスによる肺炎の流行などから子ども達を、自分たちをどう守っていくのかを「想定外」ということを言い訳にすることなく考えていかなければならないと思います。

 さて、2019年度は60回生72名の新入生を迎えて始まりました。すなわち今年度は1960年創立の聖学院小学校にとっては60年目の節目の年だったわけです。節目とは今までの歩みを振り返り、検証するときです。

 検証を進める中で、私たちは今年度3回の研究授業を行いました。授業を担当したのは3名の新任教諭です。研究授業は原則として全ての教員が参観し、授業後にはその授業をめぐって研究会が開かれます。研究会では授業の細部にわたって良かった点、改善すべき点が指摘されます。研究授業は授業者にとって貴重な学びの時です。けれども研究授業では授業者だけが学ぶわけではありません。参観する者も自らの授業を振り返る機会となります。また、学校全体としては聖学院小学校が行っている授業の検証の時となります。今回の研究授業でもiPadを用いる授業、協同学習による授業が行われました。iPadなどのICT機器を用いることは国が推進しています。協同学習も新学習指導要領にある主体的・対話的で深い学び(アクティブ・ラーニング)に沿ったものです。けれどもiPadを用いればよい授業か、一斉授業より協同学習が優れているのかといえば、一概にそうは言えません。個々の授業について、iPadを用いることや協同学習によって子ども達の学びが用いない場合に比べて深まるのか、という検証は不可欠です。研究会ではそのような観点からも意見交換がされました。授業は学校教育の中心です。これからもより良い授業を目指して、研修、検証を強化して参ります。

 来年度は創立60周年を迎えます。今年度一年間を通じて行われた振り返り、検証を踏まえて、新たなスタートの時としたいと思います。

 最後になりますが、この一年のご理解とご協力に心より御礼申し上げます。

 次年度も子どもたちとご家族の皆様の上に神様のお守りと祝福がありますように、特に6年生の子どもたちがそれぞれの進学先で充実した中学校生活を送ることができるようにお祈りいたします。

校長 佐藤 慎

(学校だより けやき 第500号2020年2月27日発行)