実りの秋に寄せて

 実りの秋、収穫の秋を迎えました。恵みをもたらしてくださる神様に感謝するとともに、自然の豊かさに心もはずみます。聖学院小学校の子どもたちも、生活科や理科の授業での野菜の栽培や種の収穫をはじめとして、自然に親しむ機会が増えています。
 さて、11月の第4木曜日は収穫感謝祭です。キリスト教では、11月に様々な作物の実り・収穫に感謝して、それらを私たちに与えてくださった神様に感謝する収穫感謝礼拝を行います。また、世界の様々なところで収穫感謝祭は行われています。キリスト教だけではなく、仏教やユダヤ教でも収穫を感謝するお祭りはあります。きっと人々は感謝の気持ちをもって祝ってきたのでしょう。
 聖学院小学校では、毎年、収穫感謝礼拝をお捧げします。いつもの講壇には多くの収穫物が並べられ、中村チャプレンから聖書のお話を聞き、神様が私たちのためにこの素晴らしい自然や食べ物を与えてくださったことを感謝します。最大のお楽しみは昼食のカレーパーティーです。PTAから食材を提供していただき、アイコーメディカルさんに調理をしていただきます。子どもたちは準備してくださった方々、食事ができることへの感謝の気持ちを持ちながら、美味しくカレーをいただきます。

 ところで、私は子どもの頃、お肉が苦手でした。幸いなことに、お肉を私の口に押し込もうとする人はいません。みんな喜んで私のお皿からお肉をとっていくので助かりました。
 それが背丈もぐんと伸びた15歳を過ぎたとき、なぜか食べられるようになりました。人の味覚はひょんなことで変わると驚いたのを今でもよく覚えています。
 食に関しては、ご家庭によって様々な考え方があるでしょう。「残さず食べなさい」、「嫌いなら食べなくてよし」など。
 先日、農林水産省の資料を見て驚いたことがあります。平成30年度の日本の食品ロスは約600万トン。これを国民1人当たりで計算すると1日約130グラム。年間約47キログラム廃棄していることになるそうです。
 確かに、私たちの周りには食べ物がいっぱいあります。しかし、SDGsで貧困をなくそうと目標掲げているように、現実に飢餓で苦しんでいる 方々はたくさんいらっしゃいます。
 このような現実を知ると、どのような食べ物も「美味しいなあ」、「苦手だけど少しだけ食べてみよう」と思いながら食べてこそ、食への感謝や喜びが育つのではないかと感じます。もちろん、どうしても食べることのできない食べ物もあることでしょう。ひょっとしたら嫌いだった食べ物も口に入れる日が来るかもしれません。
 児童期の大切な時期に、ご家庭でも、なるべく好き嫌いなく食べることの大切さを教えていただきたいと思います。

 「いただきます」は食事に携わってくれた全ての人、そして私たちの栄養の元になってくれている食材たちの命にも感謝しての言葉と聞きます。感謝して「いただきます」と言える私たちでありますよう願っています。

 最後にテサロニケの信徒への手紙一 5章18節の御言葉を紹介します。
 「どんなことにも感謝しなさい。これこそ、キリスト・イエスにおいて神があなたに望んでおられることです。」

ランチ委員会 小野寺 和人
(学校だより けやき 第517号2021年10月28日発行)