ペンテコステの恵み

 聖学院小学校では6月10日の金曜日にペンテコステ礼拝が予定されています。教会暦では6月5日の日曜日に、世界中の教会がペンテコステ礼拝をお捧げします。教会から遣わされた宣教師が聖学院を創立したことはよく知られている神様の尊いみ業です。世界で初めてのキリスト教会は、今から約2千年前のユダヤのエルサレムで誕生しました。神の御子主イエス・キリストが弟子たちに約束された通りに、主イエスが復活されてから50日目のペンテコステに、天から神の霊、聖霊が12弟子たちの上に降りとどまって、弟子たちを教会とされました。教会とは、この弟子たちの共同体のことでした。

 この共同体は、誕生したその時から、主イエスの愛の教えを世界に向けて伝えていくことを使命としていました。だから、使徒言行録2章4節には「すると、一同は聖霊に満たされ、“霊”が語らせるままに、ほかの国々の言葉で話し出した。」と記されています。弟子たちの心は世界に向いていました。ほかの国々の言葉で主イエスの愛の教えをエルサレムに集まる世界中の人々に伝えました。「ほかの国々の言葉で」の中には、もちろん、私たちの国、日本も含まれることとなりました。

 教会から遣わされた宣教師たちは、太平洋の荒波を船で乗り越え、15世紀に日本にまでやって来て、日本にも教会やキリスト教学校を建て、主イエスの愛の教えを日本人に伝えました。宣教師たちは日本語を学び、日本語で主イエスの十字架と復活に現された神の愛を伝えました。宣教師たちは日本語に訳された聖書も発行しました。教会は日本中に広がっていきました。日本の教会とキリスト教学校は、幕府や政府の迫害に耐えつつ、主イエスの愛の教えを現代に至るまで伝えてきました。

 このように、教会が伝える主イエスの愛の教えはとてもインターナショナルです。世界中の多くの人々が、聖書の聖句を学び、主イエスの愛の教えの中心である「神を愛し、隣人を自分のように愛す」ことを人間関係の手本としています。主イエスの愛の教えほどインターナショナルなものはない、と私は確信しています。今日、世界中の人々はこの主イエスの隣人愛の教えの影響を教会や教会学校、そしてキリスト教学校から受けています。

 聖学院も教会から遣わされた宣教師が建てたキリスト教学校ですから、主イエスの隣人愛の教えを教育理念の中心に据え、教育のみ業に仕えています。そして、聖学院小学校で学ぶ子どもたちは、日本のためだけではな く、世界のためにも祈っています。子どもたちの心がいつも世界に向いていることは、み言葉の良い影響の一つです。それはペンテコステの恵みです。聖学院小学校の子どもたちは、これからも、心を世界に向け、愛と平和を願い望む光の子として歩んで参ります。ペンテコステ、おめでとうございます!

チャプレン 中村 謙一
(学校だより けやき 第524号2022年5月27日発行)