主を待ち望むこと

  11月27日の日曜日から世界がアドベントに入ります。アドベントとは神の御子である主イエス・キリストを待ち望む季節のことです。ラテン語でアドベントは「待ち望む」という意味です。
日本語で「待降節」または「降臨節」とも呼び、2022年度のキリスト教の暦では、11月27日から 12月24日の土曜日までが待降節となっています。キリストがお生まれになった後、12月25日のクリスマスから暦は待降節から降誕節に移ります。
 世界の人々はアドベントにはキリストをどのように待ち望んでいるのでしょうか。待ち望むとは、キリストを心にお迎えする準備をするということに他ありません。キリストは救い主ですから、救い主を心にお迎えする準備をクリスマスに向けて世界中の人々がしています。キリストとは旧約聖書ではヘブライ語で「メシア」と記されています。主イエス・キリストはこの地上ではメシアの役割を忠実に果たされました。従って、アドベントにはメシアの役割を手本にして心の準備を進めます。
 メシアの役割にはキーワードが3つあります。それらは、第一に礼拝、第二に聖書、第三に奉仕です。心を準備するためにキリストはこの3つを大切にされておられました。第一では、礼拝に参加してアドベントの心の準備を進めましょう。キリスト教会のアドベント礼拝とクリスマス礼拝に出席することをお勧め致します。キリストは礼拝に忠実な祭司のようなお方でありました。聖書をよく読んでいる方はすでに気がつかれていると思いますが、キリストは父なる神様によく礼拝を献げていました。聖学院小学校も礼拝を守り大切にしています。礼拝では賛美や祈りが捧げられます。賛美や祈りの言葉の意味が心の成長に良い影響を与えます。キリストが十字架にかかる直前にも、キリストは弟子たちと礼拝し賛美をしていました。
「一同は賛美の歌をうたってから、オリーブ山へ出かけた。」(マタイによる福音書26章30節)
 第二では、聖書を読んで心の準備を進めましょう。アドベントには、聖書を読み、聖書の話しを聞くことが勧められています。それが心の準備の助けとなります。聖書の話しは礼拝の中にあります。礼拝に参加をすると、必ず聖書を読む機会が与えられます。キリストも聖書をよく読み教えておられました。その事が心の成長に大切であることをキリストはよくご存知でした。キリストは「人はパンだけで生きるものではない。神の口から出る一つ一つの言葉で生きる。」(マタイによる福音書4章4節)と言われていました。アドベントにはクリスマスの聖書箇所がよく読まれています。
 第三では、奉仕をすることがアドベントとクリスマスの心の準備となります。これは、キリストご自身が大変ユニークな王のようなお方であったことに起因します。キリストは奉仕を大切にするお方でありました。キリストご自身が弟子たちに「あなたがたの中で偉くなりたい者は、皆に仕える者になり、いちばん上になりたい者は、すべての人の僕になりなさい。」(マルコによる福音書10 章43-44節)と言っておられました。キリストは神と人に仕えられました。聖学院全体の教育理念も「神を仰ぎ人に仕う」です。キリストの十字架と復活に示された神の愛を手本として、クリスマス献金など、世界はまさにアドベントには奉仕を献げます。クリスマスへの心の準備は、毎年多くの恵まれない人々を世界規模で助けています。聖小のクリスマス礼拝とページェントも奉仕として献げられます。参加者全ての良き心の準備となりますことを祈っています。

チャプレン 中村 謙一
(学校だより けやき 第529号2022年11月28日発行)