2022年度を終えるに当たって

 新型コロナウイルスによって子ども達の活動が大きく制限されるようになってから3年が経過しました。それでも今年度は色々なことが徐々にではありますが元に戻りつつあることはうれしいことです。
 第一に挙げたいのは制限せざるを得なかった協同学習をだいぶ行うことができるようになったことです。聖学院小学校が育てることに力を入れている「対話力」の育成には協同学習が不可欠です。
 第二に挙げたいのはスクールランチを縦割りで食することを再開したことです。その他の縦割りの活動も徐々に再開しています。縦割りの活動は学年を超えた子ども達の交流を活発にします。また、特に年長の子ども達が自分より年少の子ども達とふれあうことは、やさしい心を育みます。
 第三に挙げたいのは行事も徐々に元の形に近づきつつあることです。
 聖学院フェアは事業部の皆様を中心とした保護者の方々のご尽力により、かなり元の形に近い形で実施することができました。子ども達が一番楽しみにしている行事をすることができたことは、我慢が続いている子ども達にとってとてもよいことでした。
 また、授業参観もオンラインではなく実参加で行うことが出来ましたし、音楽会やクリスマス礼拝を保護者の方々に参観して頂けたことは子ども達の励みにもなり、成長にもつながったと思います。
 更に2年生から6年生の宿泊行事を行えたことも大きな出来事でした。宿泊行事は子ども達同士のよりよい関係構築につながります。またどの学年の宿泊行事も「訓練」という意味があります。低学年の子どもにとっては親元を離れ、自分の身の回りの事を全て自分ですること自体が訓練ですし、高学年の宿泊行事には楽しいだけでなく、訓練と位置づけられるプログラムがあります。訓練によって育つ「困難を乗り越える力」は生きる力そのものですから、そういう観点からも宿泊行事を実施することができたことは大きな意味がありました。

 では全てのことを戻すべきなのでしょうか。確かに全体的な流れとしては「コロナ以前」を目指すことになります。けれども、行事の中にはコロナ禍にあって工夫したり、変更したりしたことが結果としてよりよい物につながったという例は少なくありません。例えば運動会(スポーツディ)における種目の見直し、子ども達の係活動の見直しは子ども達がより主体的に運動会に参加することにつながりました。これは行事だけに限りません。コロナ禍はそれまでの聖小の教育活動そのものを検証する事につながったという側面もあるのです。

 5月の連休明けからは新型コロナウイルス感染症が第5類に見直される見通しです。学校生活をコロナ以前に戻すことは更に加速することになると思います。けれども、単に戻すのではなく、コロナ以前より更によい教育を行うことために来年度に向け準備を重ねて参ります。

 保護者の皆様には今年度も様々な場面でご協力頂きましたこと、改めて御礼申し上げます。次年度も子どもたちとご家族の皆様の上に神様のお守りと祝福がありますように、特に6年生の子どもたちがそれぞれの進学先で充実した中学校生活を送ることができるようにお祈りいたします。

  校長 佐藤 慎 
(学校だより けやき 第532号2023年2月24日発行)