節目

 2023年度は間もなく終わります。子どもたちはいま進級、進学という一つの節目の時を迎えようとしています。
 私たちにとっていろいろな場面で訪れる節目とは過去の反省にたって、新たな決意を持って再出発するチャンスです。しかし、その節目は意識しないならば、ただの時として過ぎ去るのみです。
 子どもたちは今年の4月それぞれの決意や目標、願いを持って、新年度の歩みを始めたことと思います。そこで一年の終わりのこの時に一年の歩みを振り返り、新たな気持ちで次年度の、6年生は中学生としてのスタートを切ってほしいと望んでいます。気持ちを新たにするチャンスを逃してほしくないのです。
 では、振り返るとはどういうことでしょうか。これは言い方を変えると一年の歩みを評価するということです。4月にそれぞれが立てた目標に到達することができたのか、それともまだ不十分な部分もあるのか。きちんと評価しない目標はただのスローガンに終わってしまいます。子どもたちの中にはどんな目標を立てたのか忘れてしまっている子がいるかもしれませんが、それを認識するのも大切なことです。もしそれをきちんと反省することができたならば、次に立てる目標はただのスローガンに終わらせないことができるからです。  
 もちろん、子どもに節目の大切さを説くだけでは不十分であるのは言うまでもありません。少なくとも子どもが小学生の間は節目を意味あるものにするために親や教師の手助けが必要です。振り返りのための材料としては、先日行われた面談で話されたこと、3月に渡される「あゆみ」を手がかりにするとよいと思います。ただ、面談で担任がお話ししたこと、「あゆみ」に記載したことは他者による評価です。合わせて自己評価をすることもとても大切です。面談の内容を伝え、「あゆみ」に記載してあることを一緒に見ながら自分としてよかったこと、がんばったこと、よくなかったこと、足りなかったことなどを子ども自身の言葉で言うことが新たな一歩を踏み出す前提として大切だと思います。 
 同時にこの節目は親として、教員として子どもの教育について振り返る時としたいと思います。親としてきちんと子どもと向き合ってきたのか、過保護ではなかったか、放任ではなかったかなど、親としての役割を充分に果たしたかを考えることはとても大切だと思います。 
 もちろん、教員たちも一年を振り返り、反省の時を持ちます。教員は子どもたちを評価する立場にあります。けれども子どもたちを評価するということは同時に自分が評価されることでもあるのです。それは子どもたちの成績が教員の指導の結果という側面があるからです。
 年度末のこの時、子どもたち自身が、そして子どもたちを導く立場にある親と教員が、この一年の歩みを振り返り、新しい決意を持って4 月からの歩みを始めたいと思います。
 この一年、保護者の皆様には聖学院小学校の教育にご理解とご協力を賜りましたこと、心より御礼申し上げます。
 次年度も子どもたちとご家族の皆様の上に神様のお守りと祝福がありますように、特に6年生の子どもたちがそれぞれの進学先で充実した中学校生活を送ることができるようにお祈りいたします。

校長 佐藤 慎
(学校だより けやき 第543号2024年2月26日発行)