互いに思いやりを持って、賜物を分かち合って、共に学ぶ

 「学校とは通ってくる子どもたちが共に学ぶ場です。だから一人では学べないこと、友だちと一緒だからこそ学べることを大切にしなければならないと考えています。」このことは私が再三申し上げていることです。もちろん、これは一人で学ぶことの大切さを否定するものではありません。一人だからこそ学ぶことが出来ることのなかにも大切なものがたくさんあることは重々わかった上で、学校とは子どもたちが共に学ぶ場なので、一人では学べないこと、一人だけでは決して育たないことを大切にしなければならないという意味で申し上げていることです。

 現在聖学院小学校が力を入れている協同学習はまさに一人では成り立たない学習形態です。共に学ぶ中で子どもたちは自分の知識や技能を互いに分かち合い、自分に与えられた役割を責任を持って果たしていくことによって学びは主体的なものになっています。これは2020年度から施行された学習指導要領において「主体的・対話的で深い学びをすべての教科で実践する」ことが示されたことにも合致しています。

 もちろん学校で学ぶべきことは教科学習によって学ぶことだけではありません。学校は社会の縮図でもあります。子どもたちが社会で生きていくための力、社会性は集団の中でしか育ちません。互いを思いやる気持ち、システムに従って生活することやルールを守るといったこと、コミュニケーション力、共感力、共有力といった社会性の土台とも言える力は小学生の内に身につけることが望ましいことは言うまでもないことです。

 今小学校で生活するすべての子どもたちはコロナ禍の約3年間、互いに交流することを制限されました。そのことは新型コロナウイルス感染症から守るために必要ではありましたが、友だちや教師との交流が制限されたことで、孤立感やストレスを感じた子どもは少なくありません。また交流の制限は子どもたちの社会的スキルの発達にも影響を及ぼしている可能性は否定できません。このことを考えると「学校とは子どもたちが一緒に学ぶ場所」であることを一層大切にするが必要があると思うのです。今年度も子どもたちが「互いに思いやりを持って、賜物を分かち合って、共に学ぶ」そのような学校作りを心がけて参ります。

校長 佐藤 慎
(学校だより けやき 第544号2024年4月5日発行)