「あゆみ」の評価観点の変更について

 文部科学省の学習指導要領は2017年度に改訂されました。それに従って、今年度から教科書の内容が若干変わりましたし、また新しい学習指導要領のもとでの学習評価についての「報告」2019 年1月21日付(中教審教育課程部会)と文部科学省による「通知」2019年3月29日付(30文科初第1845号)に従って「あゆみ」の評価観点も変わります。どの教科も3つの評価観点「知識・技能」「思考・判断・表現」「主体的に学習に取り組む態度」になりました。学習指導要領改訂に合わせて4観点から3観点に変更された指導要録に合わせたものです。また本校でも、3年生以上の評定が5段階評価から3段階評価に変わります。3段階評価も、指導要録に合わせたものです。

 さて、3観点になった評価観点は、4観点だった時の「知識・理解」の「理解」はどの観点にも伴っているという考え方です。「深い理解を伴った知識・技能」であるかどうかを評価することになりますし、「思考・判断・表現」は基礎的な知識・技能をうまく活用しながら、さらにその先を自分なりに考えて、情報の真偽などを判断し、考えたことを分かりやすく人に伝えるために表現する力があるどうかを評価することになります。
 また「主体的に学習に取り組む態度」は知識や技能を獲得したり、思考力、判断力、表現力等を身に付けたりすることに向けた粘り強い取り組みを行おうとする側面と、自ら学習を調整しようとする側面の二つの側面を評価します。後者については例えば、テスト直しのときに、正解を書き込むだけでなく、自分はなぜ間違えたのかを分析して対応策を考えているかどうかも重要です。これは3観点への変更についての一つの見方です。教師も子ども自身も学習方法について考える機会をつくっているか、学習のPDCAサイクル(Plan計画、Do実行、Check評価、Action改善を繰り返すこと)を回すことができるか、家庭学習も含めて自分で計画を立てて実行していけるかを見るようにします。
 このような評価方法が教師に求められるようになったことにより、自己評価活動、相互評価活動、学習改善につながるような授業づくりが求められています。私たちも研究研鑽を継続的に進めていかなくてはいけません。  

 さて、先日NHKのEテレで「ズームバック×オチアイ」という番組を視聴する機会がありました。テーマが「教育の半歩先」。コロナ禍の中にあって、リモート教育が若干進んだここ最近にあって、視聴覚教育の歴史や最新の「ミネルバ大学」の様子や豊かさの教育の必要性が語られていました。印象的だったのは、作家ヴィクトール・フランクルの著書『夜と霧』に出てくる、収容所で夕日を見て「世界はなんて美しいのだ」と言った部分の引用シーン。心はいつでもどんな苦難な時でも豊かな人生を求めているということが象徴されていました。大人も子どもも自分にとって何が豊かなことなのか考えることが大事です。  

 聖学院小学校の評価観点が変わっても、私たちは豊かさを求める思いは変わりません。神様への感謝の思いが増し加わるように、豊かであることを実感できる機会がたくさんある環境で子どもを育もうとする姿勢には変更はありません。ご安心ください。

教務部 木越 憲輝

(学校だより けやき 第505号2020年9月24日発行)